患者・市民とともに

G-STEPプロジェクトでは、研究期間の全てを通じて、
患者・市民の皆さんとともにIVG研究について考えます。
皆さんのIVG研究についての意見や考えをまとめ、
それをルール作りの提案などに生かしていくことを大きな目標にしています。

※ 最新の参加者募集状況については、「お知らせ一覧」ページをご覧ください。

患者・市民の皆さんの意見が重要です

「高度で専門的な科学知識なんて私にはないし、難しそう。
専門家の人たちで使い方を決めたら、それでいいんじゃない?」
――もしかすると、説明を読んでこう思われた方もいるかもしれません。

でも、実際には、科学や医療の「専門家」の意見だけでは足りず、
患者・市民の立場の皆さんの意見や考えがとても重要です。

「私たちの」未来、「私たちの」技術の使い方

研究は、税金が投入されて行われます。
また、その成果として生じる知識や科学技術は、人々の生活や考え方、社会構造を変えたりと、
様々な形で社会やそこを生きる人々への影響力を持ちます。
特に、IVG研究はヒトを含む動物の「いのち」の発生に関する研究であることから、
研究成果が与える社会への影響も大きく、また広い範囲にわたることが予測されます。

そこで、こうしたIVG研究について
応用が可能になる前から社会を構成するみんなで
「どんな未来になると良いか」「その未来に向けて、研究がどのように進むと良いか」を
考えておくことが重要です。

生活者・当事者の視点の反映

近年は、様々な分野で、患者・市民が持っている「経験知」の価値が注目されています。

科学者や医療者は「科学的知識」について詳しく、専門性を持ちます。
それに対して、患者・市民の皆さんはまた別の視点から、
(普段意識するかどうかに関わらず)科学に日頃触れています。
そうした「日常生活の中で経験する」科学についての視点は、
未来の科学技術の姿を考える際に必要で役にたつ、と考えられているのです。


また、不妊を経験された方や遺伝性疾患に関係する方などは、
ご自身の経験を踏まえて、
将来IVGが社会の中で使われる可能性を考えたり、意見を述べられたりするかもしれません。
そうした個々の方の経験に基づく意見も、
「科学者たちの専門性」とはまた別の、しかしそれらと同等に重要な、
とても大きな価値を持っています。

みんなで一緒に「未来」について考えよう

「未来」を考える時、患者・市民の視点と研究者たちの視点は、
どちらか片方だけで十分なものでなく、補い合って機能するものです。


互いの意見や考えを知り、時に互いに学び合うことで、
より良い科学の位置付け方や、それが存在する社会について、
より深く考えることができると期待されます。

話し合うのに必要な科学的知識については、
状況に応じて出来るだけ堅苦しくない形で提供します。
同時に、皆さんが感じること・見えている世界を研究者たちに教えてください。

お互いが持っているものを持ち寄って、一緒にこのプロジェクトを作りましょう!

どんな参加の方法があるの?

G-STEPプロジェクトは、
3年間の研究期間(2023年10月-2026年3月)で行う一連の研究を、
計9つのワークパッケージ(WPと略します。工程のこと)に分けて段階的に進めています。

そのうち、特に患者・市民の方を対象とする取り組みとして、主に以下の内容を予定しています。

市民パネル

プロジェクトの最も初めの工程・WP1において、
3年間のプロジェクト全体を一緒に伴走してくださる患者・市民の皆さんを一般募集します。
集まった皆さんのことを「市民パネル」と呼びます。

パネル発足後は、研究チームと市民パネルメンバー間で
定期的な会議(3-4ヶ月に1度を想定)を開催します。
これによって、WP2以降のすべての工程で患者・市民と意見交換を行い、
患者・市民の皆さんの意見や視点を取り入れて進めます。

より具体的には、後述するグループインタビュー実施の際のシナリオ作りや、
Q-sort法で用いるステートメントの検討などを
市民パネルのメンバーと共に行うことを予定しています。

様々な形での意見調査

以下は計画であり、状況に応じて詳細は変更する可能性があります。

WP5:グループインタビュー

患者・市民を対象にした、IVG研究に関するグループインタビュー調査の実施を予定しています。

IVG研究の基礎研究や、医療への応用に関する想定事例(シナリオ)を提示して、
それを元に少人数のグループで
IVG研究のどんなところに期待し、何が不安なのか、その理由は何なのか、などを
話し合っていただくことを想定しています。

議論の内容を録音し、研究データとして分析して
患者・市民のIVG研究に対する考え方を理解します。

WP7:Q-sort法

WP5で明らかになった、IVG研究に対する患者・市民の考え方や意見の状況を踏まえて、
今後必要となるELSI対応やルールづくりのためにどの要素がどのように重要かを明らかにするために、
Q-sort法と呼ばれるweb調査を行います。

調査では、例えば「信頼できる形でIVG研究を進めるために何が必要か」というテーマについて、
参加者の方に、用意されたステートメント(関係する意見や価値観についての短い記述)の重要度の順位をつけてもらいます。
ステートメントの例として、「研究の意義が十分に説明される」「研究者の人となりがわかる」などを
現時点では想定しています。

多数の人々からデータを収集することによって、
人々が持つELSIへの見方や考え方、必要な対応のパターンの類型化や可視化を目指します。

公開シンポジウムやセミナーの開催

研究進捗に関するシンポジウムや、本プロジェクトに関連する内容を扱う公開セミナーの開催も予定しています。
こうした場でのプロジェクト外の方との情報共有や意見交換も目指します。